うちの事務所の近くに某アパレル企業の本社がある。
今日、前を通りがかったら、どうやら会社説明会を開催しているらしかった。
そこで見かけてはっとした話。
会社入口の前、日差しが降り注ぐ炎天下のもと、
社員らしき女性がひとり、スーツをビシッと着て立っている。
当然、上着を着用して。
「アパレル志望の学生、ちゃんと情報キャッチしてるかな・・・」
「今日受ける学生、みんながんばれよ・・・」
なんて考えながら通り過ぎると、すぐに前から就活生が歩いてきた。
背中を丸めてそそくさと歩くその姿には、疲れと焦りがにじみ出ていた。
そして彼女は、スーツの上着を脱ぎ手に持っていた。
この暑さだから、やむを得ないことだろう。
ただ残念なのは、こっから先。
まさか。え?まさか?着ろよ。着てくれよ。おい。あ。おい!あ!あああww
彼女は一生懸命だった。
歩く姿や、その表情から、そのことは伝わってきた。
でもそれもよくよく見れば、の話。
パッと見だと、姿勢は良いとはいえないし暗い表情、余裕のない印象。
そのまま、入口の前に立っている社員の前まで行ってしまった彼女。
上着を手に持ったまま、何やら話かけて聞いている様子。
「○○の会社説明会はこちらでよろしいでしょうか?」
既に距離があり聞こえなかったが、そんな感じだろうか。
それを受けた女性社員が、「こちらです」と片手を差し出しながら笑顔で丁寧にお辞儀。
学生はペコ、ペコ、と2回、首だけを動かす軽い礼。
いや、もはや礼とはいえない「うなずき」程度。
しかも静止もせずに歩きながら。
とにかく「ちーす」てな感じ。
その姿はもはやハトぽっぽレベルだった…。
いや、ええねんで。
分かってて、俺は、私は、それでいい。って思ってるんなら。
自分が頭打ちながら、それでも価値観変えないんだって言うんなら。
好きにすりゃいいと思うよ。俺は。
苦労するのは自分やからね。
選んでそうしてるんならそれでいい。
でもね。
たぶん、あの子はそんなことは考えてないと思った。
ただただ一生懸命だったと思う。
きっと必死で就職活動をしてるんだと思う。
ただ気づいてないし、知らないんだと感じた。
だったら切ないじゃないか…。
「こんなにがんばってるのになんで結果がでないのか?」
と頭を悩ませ苦しんでいるとしたら切ない。
たぶん「知らない」だけ。
正直本気でやっててアレはない・・・と、とても残念な気持ちになった。
でも知らないきゃそうなるだろうな、とも思う。
でもなぜ知らないの?と不思議にも思う。
家庭か学校か社会か、とにかく教育の問題なんだろうな、とも思う。
複雑な心境だ。
願わくば、私が関わり支援している学生は、そうではないことを祈りたい。
でもそうかもしれない、とも思う。
「そんなことあたり前。言うまでもないか。」
私が普段そう思っていること。
本当にそうだろうか?
と、ちょっと考えさせられた出来事だった。
残念な昼下がりの出来事。
別にマナーが絶対条件だとはさらさら思わない。
でも、必要なときはできたほうがええよな。
おい、みんな?・・・大丈夫か?