さて、今日は自己PRについてちょっと考えて意見を述べてみる。
先日大阪経済法科大学2年生の学生に、
キャリアデザインの授業の中でふいにこんな質問をされた。
「先生、自己PRってなんですか?」
正確には自己アピールと言っていたが、同じような意味で使ったのだろう。
自己PRってなんだろう?
『学生が就職活動という場で作らなくてはいけないもの。
主にエントリーシートや履歴書、面接を通じて、
具体的な過去の経験に基づく自分の強みや売りを企業側に伝えること。』
そんなふうに言ってしまえば、あまりにこれはつまらないものとなる。
そんな狭い概念では捉えてほしくはない。
では自己PRってなんだろうか?
話は変って、私は起業家である。
自分の会社を立ち上げて、自分自身をブランドにして事業を始めて2年になる。
自分で会社を作って、ひとりで商売をしたのはこれが初めての経験だった。
それまで私は、大手の通信会社、いわゆる電話会社に勤めていた。
大学を出てその会社に入り、ずっとそこに勤めた一本のキャリアだった。
そこで12年間法人営業に従事し、プレイヤーとマネージャーの両方を経験した。
そう、私は元リクルートでも元ベネッセでもない。
キャリア教育や就職や採用をネタに仕事をしてきたわけではないのだ。
それらに関連する部門(例えば人事部など)で働いていたわけでもない。
もちろん、この業界になんのコネクションも人脈もない。
経験も実績もコネもついでに金も(笑)、本当になにもなかった。
でも勝算はあった。
なぜなら自分というリソースを点検してそれを把握することができたから。
そしてそれを言葉などを通じて、いわゆる「自己PR」しているからだ。
もちろん、そこで求められる能力はそれだけではない。
でも、そのことが役に立っていることは事実だ。
私がしていることは、
「現時点で自分が何者であるか」を知って表現すること。
その作業には、過去と未来も、全部自分だから当然絡んでくる。
何をしてきたのか?
今、何ができるのか?
これから何がしたいのか?
これら『WHAT』の質問の答えになる事柄と、
なぜそれをしたのか?
これまでどんなふうに取り組んできたのか?
この先やりたいことにどんなふうに取り組むことができるのか?
自分が取り組むことでどんな価値を生み出すことができるのか?
など『WHY』と『HOW』を使って動機やプロセス、コレカラのビジョンを表現する。
そこに信憑性と説得力を持たせるために、具体的な成果や実績を加える。
それらを言葉にして書いたり話したりすることで相手に伝えていく作業、
それが自己PRである。
ただし、そこで注意していることがもうひとつある。
あくまでもこれは、相手(他者)に伝える作業だということ。
ということは、ただ言葉にすればいいわけではない。
伝えるのは言葉だけじゃない。
言葉は確かに重要だけど、表現するための手段のひとつに過ぎない。
顔(表情)、姿勢や動き(所作)、話し方(スピード、声色)などなどなど、
身体全体で表現された総体が相手には伝わっている。
そのことを忘れないようにしている。
何も起業に限った話をしているわけではない。
会社に勤めて仕事をしていようが、それは同じことである。
これは、社会で生きていくために必要不可欠な力といってもいいと私は思う。
だから就職活動にしたって、当然自己PRが重要になってくる。
要するに自己PRとは、
『自分の存在証明であり、やりたいことをやるためのパスポートである。
そのために役立つ自分の持ち物を、自分の身体を総動員して相手に伝えること』
である。